なんと、参議院スタッフから手渡された17日の議事録(「日程」)、そこには例の速記記録の証拠写真からみれば、あり得ないはずの採決が着々となされていったことが書かれているのですが、公式記録として手渡された「議事録」には、委員長の開会宣言が抜け落ちており、16日の横浜での地方公聴会に「派遣」された議員の記録も抜け落ちていたのです。
何も知らずにこの福山発言を視ていた全国の視聴者もぎょっとしたのではないかと思いますが、これは聞き流していいことではありません。
最初にその福山議員の19日未明の討論の動画を貼ります。17:50過ぎ、手にA4サイズの文書を持っているあたりを数分間見てください。その後に、これがどういう意味を持っているのかが明らかになります。
福山議員の20分ごろからの発言を書き起こします。
19:52ごろから:
ひとつ、重要な事を申し上げます。
これは重要なので聴いて下さい。
その、時間を守れという野次と同じぐらい重要なルールの話なので聴いて下さい。
昨日の暴力的な強行採決は…
最後ぐらい黙って聞け!!
あなたたちには武士の情けもないのか!
…昨日の、強行採決の場面を思い出して下さい。
鴻池委員長が復席をされました。
私は、野党の理事の立場として、あの委員会の議事は、実はまだ合意ができていませんでした。
もちろん委員長が職権で立てておられることは私は承知のうえです。…承知のうえですが、合意をしていないので、私は「これが始まる前に委員長に、議事を整理をしたい」と言ってゆっくり委員長のところに歩み寄りました。
そしたら突然、与党の議員が、それも委員会のメンバではない議員が、20名以上がダーッと来て、あっという間に混乱の極みになりました。
[注: ↑委員長席右側、つまりカメラに背を向けて経っていた福山議員が押し寄せた与党の議員らに、巧妙に外へ弾き飛ばされるのがわかります。 当日の報道ステーションは、ノーカットでこの時の8分間を流しました。]
みなさん、きょう、参議院のスタッフが、ご丁寧に、私に、昨日の議事[=17日特別委]の日程を出してくれました。
いつどこでなんの議事がされたか、採決がされたか、全くわからない状況の、どういうわけか、議事が、出てまいりました。
[注:17日当日に、共産党の小池晃議員から、 採決の記録がない、未定稿のままの速記記録の写真がツイートされたのは、ご存知のとおりです。]
時間が[書いて]あって、なんか知らないけど、採決とか書いてあります。
これで、実は、みごとに…
みごとにですよ、
委員会の開会の時間が入っていません。
議事録を…つまり野球で言えば、プレイボールがかかっていないのに、試合がされていないのに…、採決なんてみなさん、ありえないでしょう。
そして、この委員長認定というこの紙には重要なことが書かれています。重要な事が書かれています。
実は、その前の日[=16日]にありました[横浜での]地方公聴会の報告がされていないことが、この委員長認定の紙でも明らかになりました。
参議院先例280。
「派遣委員は、その結果について、口頭または文書をもって委員会に報告する」
こう書いてあります。
委員長、委員会に、派遣は報告をしなければいけません。
派遣報告はされていません。
地方公聴会の派遣は、我々の委員会、…45人でしたが、20人です。残りの25人は、実は委員会[公聴会]のことを聴いていません。
そして、委員会の報告を聞いて、それぞれが委員会の中身、公述人の方の中身を、確認をして、それを供して採決に至るというのが、参議院の委員会のルールです。
ところが、委員会の報告がないということは、地方公聴会をしたにもかかわらず、実は、採決としては重要な、重大な瑕疵があるということが明らかになりました。
そして、このことは、野党の採決権が剥奪されたことに加えて、公述人は、外部の方です。外部の方が、委員長のお願いで、要請で公述に来られました。そしてその公述に来られた方の、公述が、委員会に報告をされませんでした。
委員会がその報告を受けなければ、議事録には、載せられません。
つまり、このままでいると、あの地方公聴会は、開催をされて、公述人の方はしっかりと公述をしていただいたのに、その議事録に載らないということは、あの公述人の地方公聴会は、なかったものにされます。
これは、外部との関係です。
すいません、先程からルールを守れと言われていますが、いいですか。時間を制限をした、この10分や20分よりも、採決の要件である、地方公聴会の委員会報告がないほうが、ルールとしては、大変な瑕疵になります。
我々の、野党推薦の公述人は、東京大学元誉教授・元副学長・全日本学術会議会長、広渡清吾さん、弁護士・青山学院大学日本研究助教、水上貴央さんです。
これは外部の方でございまして、この外部の方の議事録がこのままなくなったことにされてしまうというのは、参議院としての最大の汚点を残すことになります。
そしてそれは、この採決が、無効であることになります。
そして、もう一つ申し上げます。
私は、
「このことは何としても外部だから、与党も野党も関係ない、時間の遅延も関係ない、そんなことではなくて、ちゃんと委員会を開いて報告をしてほしいと言って、自民党の筆頭理事[=佐藤正久]に、昨日の夕方から、この問題を申し上げて、理事懇を開いていて頂いて、委員会をとにかく、短期間でもやらないと、議事録に残らないから、やってくれ」
とお願いをしたのに、全くもって音沙汰無し。黙殺をされました。
これこそが言論封殺じゃないですか、みなさん。
私は、こういったことが、政治の信頼をなくすというふうに思います。書き起こしここまで。
(後略)
(与党の野次が物凄いですが、重要な討論なので、よければこのカットの前後も視聴してください。)
これだけでも問題なのですが、今国会の与党側の習慣として、こうした指摘を一切無視して法案の採決が行われました。
そして、午前2時過ぎ、148対90で、ネットでもテレビでも安保法案 可決成立、という文字が踊りました。
今国会中に成立させるというアメリカとの約束を守りたい安倍政権、そして連休に反対デモが広がることを恐れた与党のためだけに、大半の主権者国民が寝ている夜中まで国会開催というデタラメが、こうして連日強行されました。
本会議のあと、ヒゲの佐藤正久が福山哲郎議員を呼んで、議場の後ろのほうでヒソヒソ何かを話していたのを目撃した視聴者もかなりいると思いますが、その話がこのあと出てきます。
本会議終了後、SEALDsが国会の外でコールやスピーチを続けており、本会議出席を終えた野党議員らも次々やってきて、スピーチしていました。これはこれで素晴らしい集会でした。
そのコールやスピーチが、聴き応えがあって楽しいので、私も動画をつけっぱなしで、PCで他のことをしていました。
そして、午前4時半過ぎ、始発で帰宅したい参加者のために5時までコールをやることになる前だったか後だったか、「この法案は潰せます」という声が、ちょっと目を話していたUstreamのIWJの画面から聞こえてきました。
横浜の、地方公聴会参考人の水上弁護士でした。
ここからは、SEALDsが速攻で書き起こしツイートを流していたので、そのまま説明として埋め込みます。
地方公聴会参考人の水上弁護士です!(昨日のスピーチ参照推奨)「今日なんとか安保特を開いてくれと頼んでいました。福山議員を通して佐藤議員に。私かなり頑張ったので、地方公聴会の議事録読んでいただくとわかりますが、」 #本当に止める pic.twitter.com/M3yw382Pta
— SEALDs (@SEALDs_jpn) 2015, 9月 18
「とても通せるものではないとわかります。しかし安保特では報告されず強行採決された。つまり委員会で議事録に残らなかった。これは経世史上初のこと。地方公聴会というのは、議員が外の人を呼んで、審議の参考にするので意見を聞かせてくださいということ」 #本当に止める
— SEALDs (@SEALDs_jpn) 2015, 9月 18
↑「憲政史上初のこと」の聞き間違いかな?
「なのに報告しないなんて民主主義の手続き上明確に欠缺(違憲ということ)であると言えます。だからもう一度安保特を開いてくれと言った。この話、国対委員長会談まで行ったのに結局まる無視。これはどういうことかというと、この採決には明確に欠缺があるということ」 #本当に止める
— SEALDs (@SEALDs_jpn) 2015, 9月 18
「福山議員は佐藤議員に後から例外ってことで議事録に添付するんで許してくださいと言われたそうです。つまりいけないことだと向こうもわかっている。今回の議決は明らかに欠缺、つまりこの法案は潰せます。次この法案を潰す安保特を開くときに地方公聴会の議事録を明らかにするよう」 #本当に止める
— SEALDs (@SEALDs_jpn) 2015, 9月 18
「言いました。こっからはこの法案、本気で潰していく戦いです。弁護士に喧嘩売ったんですからね。こっからはちゃんと戦えば潰せます。今日ここで落胆して諦めるのではなく、これから潰す戦いをしていきましょう」 #本当に止める
— SEALDs (@SEALDs_jpn) 2015, 9月 18
法案そのものが違憲であることに加え、国会審議中に安倍晋三らの閣僚としての発言が二転三転して立法事実すらなくなったのはご存知のとおりですが、こうして採決の手続きに瑕疵があったわけです。
笑ってしまいますが、後から「例外ってことで議事録に添付するんで許してください」と言ったって、仮に議事録にはじめから入れてあったとしても、ネット中継のおかげで我々みんな全国から、横浜での地方公聴会の直後、まったく物理的に総括審議する時間などなかったことは目撃してるわけです。
無理やり委員会を再開し、委員長の不信任動議のすぐ後に採決強行だったのだから、公述人の重要な意見が届けられていないのはわかっているわけです。
我々主権者国民が目撃しているということは、ヒゲ佐藤は気にしないんでしょうか。まぁ、自民は副幹事長が「国民に主権があるのがおかしい」と公言しても罷免されないような党なので、これで普通なんでしょう。有権者の17%しか支持(投票)してないのに、大した度胸です。さすがバックに三菱軍需財閥が控えているだけのことはあります。
なお、委員会の委員として選ばれてもいない人間が、20人以上も採決を強行するために、委員会室に雪崩れ込み、野党の委員会理事が話をしている最中に委員長から暴力的に弾き飛ばすというのは、犯罪ではないのでしょうか。(というか、たとえ一人でも…。)
誰かが訴訟団を結成してくれるのであれば、目撃者として参加したい人は全国にすごい人数いるんじゃないでしょうか。
ところで、ここで福山議員が指摘している採決手続きの瑕疵や、採決のときに与党の非委員会メンバが侵入してきたことに関しては、白眞勲議員の鴻池委員長問責決議案主旨説明でも実はすでに指摘されていたんです。(リンクのクリックでYouTubeの当該ページが別タブで開きます。)
テレビ中継は、安保法案採決討論から始まったので、福山哲郎議員の討論のほうが実質スクープとなってしまいました。
この法案は必ず潰せます。
法案そのものの中身だけでなく、このような違憲で暴力的な、議論を一切無視した多数決主義は民主主義ではありません。
提訴できる内容だらけです。もし訴訟団が結成されるなら、参加する人は全国にいるはずです。(ただし、国会の手続きや審議については、三権分立の原則により、司法は関与できないそうです。)
参考:
安保法 違憲訴訟準備続々 慶大・小林氏や松阪市長ら(2015年9月18日)
集団的自衛権行使の解釈変更になる閣議決定は違憲-提訴3件(2014年7月10日)
既に、強行採決のための参議院本会議の前後から、NHKが突然、安保法案に否定的なこと、野党議員らが審議中に何度も指摘していたことの証拠となるような内容を報道し始めました。
自民と公明には全国から怨嗟の目が向けられています。岸信介のときの自民党でもここまで憎まれなかったでしょう。
※安保特での強行採決について、その後出てきた情報はこちらでまとめています。
暴力団に成り下がった自民公明の卑劣さ(9月17日~19日のメモ)|chihointokyoの毒皿ブログ
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