月刊日本のこの記事、「約束を破ったのは北朝鮮ではない、日本だ」がツイッターやFacebookで拡散され始めたのは先週5月5日。でも、あまりの反響のなさに驚ろいています。NHKが権力の監視役としてまともな報道局であれば(あるわけないので笑ってしまいそうですが)、このインタビュー記事はスクープとして国内外に報道すべき内容だと思います。
2002年に小泉純一郎首相が訪朝し、地村保志さん、浜本富貴恵さん、蓮池薫さん、奥土祐木子さん、曽我ひとみさんら5名を帰国させたとき、私は日本が拉致被害者を帰国させたのはこれが初めてだと思っていました。
ついでにキャプチャを貼っておきます。
「約束を破ったのは北朝鮮ではない、日本だ」PDF はこちら。
是非、全文読んでください。少しでも信頼に値する言説を残したいと83歳の石井一氏が
「後世の評価に足る言説を残さなければならないという思いで、長年、日朝議連会長としての度重なる訪朝で得た体験を通して、あえてこの時期にお話します」と応じた会見です。
拉致問題は政治利用しか考えず、北朝鮮とは自分で交渉を試みもせず、海外首脳に会う度に日本への協力と理解ばかり求めて、それを全国放送で自慢する幼稚園児レベルの自称ソウリダイジンとは全く次元の違う本物の政治家たち、私たちの代表として自国と他国共存のために誠意を尽くす人たちが、ついこの間までこの国の行政のトップにいたわけです。
全国民がここに書かれた事実を知り、真剣に議論すべきことではないでしょうか。
月刊日本5月号、650円で他にも良記事満載。バックナンバーの4月号といっしょに買ってしまいました。
— 月刊日本 (@GekkanNippon) 2018年5月5日拉致問題は未解決、北は非を認めておらず、日本はなすすべがないと思い込まされてきましたが、それは嘘だったことがわかりました。
2002年に小泉純一郎首相が訪朝し、地村保志さん、浜本富貴恵さん、蓮池薫さん、奥土祐木子さん、曽我ひとみさんら5名を帰国させたとき、私は日本が拉致被害者を帰国させたのはこれが初めてだと思っていました。
が、1990年には金丸訪朝団の交渉で、7年間拉致されていた第十八富士山丸の船長の紅粉勇さんと機関長の栗原好雄さんが解放されていました。このことは一体どれほど国民に知らされてきたのでしょうか。
月刊日本オンラインの抜粋ページをそのままコピーします。
ここでは弊誌5月号に掲載した、元日朝議員連盟会長の石井一氏のインタビューを紹介します。全文は5月号をご覧ください。
石井 まず僕は1990年7月に金丸訪朝団の先遣隊の団長として訪朝しました。自社両党から3人ずつ代表を出し、6人で行きましてね。当時は1982年に第十八富士山丸の紅粉勇船長と栗原好雄機関長がスパイ容疑で拿捕された後、7年間も拘束されたままでした。この事件の解決のため長いこと協議し、救出できそうだという心証を得て、金丸訪朝団の実施を決めたわけです。
2か月後の金丸訪朝団では自民党、社会党、朝鮮労働党の間で三党合意を交わしました。そこで約束したのは、まず国交正常化のテーブルにつくことです。妙香山では金日成が金丸と二人きりになり、「ぜひ国交正常化をやってもらいたい」と頼みました。北朝鮮は経済的には相当困窮していましたから。金丸も理解を示し、「まず政府間交渉を進め、その後話がまとまれば、富士山の麓で調印式をやりましょう」と応じたのです。
次に戦後補償です。「戦前の償い」だけではなく「戦後の償い」を一応認めたわけです。北朝鮮はこの文言にこだわり続けたんですが、僕は「日韓基本条約で韓国には戦後の償いを認めていない。新たな問題になる」と主張し、机を叩きながら反対しました。ギリギリまで交渉しましたが、最後は金丸が「国交正常化が遅れた利息だ」と妥協して認めることになったのです。その結果、紅粉さんと栗原さんは無事に解放されて帰国しました。
ところが、日本国内は文句と北への批判ばかりで、アメリカや韓国も横槍を入れてきました。金丸はこの抵抗に抗しきれず、日本は国交正常化交渉のテーブルから降りてしまったわけです。このとき、僕は金丸に「アメリカを振り切って、自主外交を貫くべきです」と迫りましたが、当時の金丸の力をしてもできなかった。
―― 2002年9月17日には小泉総理が訪朝して平壌宣言に署名しました。これはどう評価していますか。
石井 小泉訪朝には裏話があるはずです。小泉一行は平壌に到着後、北朝鮮側から予期に反して「拉致被害者13人のうち、5名は生存しているが、8名は死亡している」と通告されました。しかし、日本側は事前に「拉致被害者13人は生きていて、全員返す」というメッセージを受けとっていたはずです。小泉は拉致被害者13人を奪還できると思って平壌まで行ったが、土壇場で「8名死亡」を告げられ、茫然自失したのではないか。
その後、日本側は北の用意していた昼食をキャンセルしましたが、それは「騙された」「話が違う」という不満の表れでしょう。それならば、その場で机を蹴飛ばして帰国すればよかったのです。
この時、金正日は日朝首脳会談を機に拉致を国家犯罪として認め、主席の立場で正式に謝罪したのです。その上で小泉と金正日は平壌宣言に署名しました。つまり、拉致被害者に関する北朝鮮の説明は、両首脳の間で「事実」として決着したということです。この事実はトップの間で確認されているので非常に重いものであり、拉致問題はこの時点で終わったということです。
日本側も不本意ながらこれを認めました。現に小泉訪朝の当日に、東京では福田官房長官が外務省飯倉公館に拉致被害者の家族全員を招集して、北朝鮮側の説明を伝達しました。国際社会から客観的に見た場合、「両首脳の合意によって事実を確認した上で拉致問題は決着した」ということになります。
とはいえ、これは日本人には受け入れがたい結果です。そのため、小泉訪朝後に国内世論は激高しました。またアメリカは日本の独自外交を快く思っていなかった。その結果、日本はその後に平壌宣言を無視し、国交正常化交渉を進めることができなくなったわけです。
金日成と金正日は親子2代にわたって日朝国交正常化を求めました。金丸信と小泉純一郎はその要求に理解を示したものの、最終的に国内・国際情勢に抗しきれず約束を守ることができませんでした。日朝国交正常化交渉において約束を破っているのは、北朝鮮ではなく日本だということです。……
引用ここまで。月刊日本オンラインの抜粋ページをそのままコピーします。
石井一 約束を破ったのは北朝鮮ではない、日本だ
日朝国交正常化交渉が頓挫した原因
安倍政権はこれまで、北朝鮮はすぐに約束を破る信用できない国だとして、対話を拒否してきました。これは日本社会の間でも共有されている意識だと思います。しかし、こと日朝国交正常化交渉においては、約束を破ってきたのは北朝鮮ではなく日本です。我々はこの点から目を背けてはならないと思います。ここでは弊誌5月号に掲載した、元日朝議員連盟会長の石井一氏のインタビューを紹介します。全文は5月号をご覧ください。
北朝鮮との約束を破った金丸信と小泉純一郎
―― 今後の日朝交渉を成功させるためには、過去の日朝交渉に学ぶ必要があります。石井さんは1990年9月の金丸訪朝団で事務総長を務めました。石井 まず僕は1990年7月に金丸訪朝団の先遣隊の団長として訪朝しました。自社両党から3人ずつ代表を出し、6人で行きましてね。当時は1982年に第十八富士山丸の紅粉勇船長と栗原好雄機関長がスパイ容疑で拿捕された後、7年間も拘束されたままでした。この事件の解決のため長いこと協議し、救出できそうだという心証を得て、金丸訪朝団の実施を決めたわけです。
2か月後の金丸訪朝団では自民党、社会党、朝鮮労働党の間で三党合意を交わしました。そこで約束したのは、まず国交正常化のテーブルにつくことです。妙香山では金日成が金丸と二人きりになり、「ぜひ国交正常化をやってもらいたい」と頼みました。北朝鮮は経済的には相当困窮していましたから。金丸も理解を示し、「まず政府間交渉を進め、その後話がまとまれば、富士山の麓で調印式をやりましょう」と応じたのです。
次に戦後補償です。「戦前の償い」だけではなく「戦後の償い」を一応認めたわけです。北朝鮮はこの文言にこだわり続けたんですが、僕は「日韓基本条約で韓国には戦後の償いを認めていない。新たな問題になる」と主張し、机を叩きながら反対しました。ギリギリまで交渉しましたが、最後は金丸が「国交正常化が遅れた利息だ」と妥協して認めることになったのです。その結果、紅粉さんと栗原さんは無事に解放されて帰国しました。
ところが、日本国内は文句と北への批判ばかりで、アメリカや韓国も横槍を入れてきました。金丸はこの抵抗に抗しきれず、日本は国交正常化交渉のテーブルから降りてしまったわけです。このとき、僕は金丸に「アメリカを振り切って、自主外交を貫くべきです」と迫りましたが、当時の金丸の力をしてもできなかった。
―― 2002年9月17日には小泉総理が訪朝して平壌宣言に署名しました。これはどう評価していますか。
石井 小泉訪朝には裏話があるはずです。小泉一行は平壌に到着後、北朝鮮側から予期に反して「拉致被害者13人のうち、5名は生存しているが、8名は死亡している」と通告されました。しかし、日本側は事前に「拉致被害者13人は生きていて、全員返す」というメッセージを受けとっていたはずです。小泉は拉致被害者13人を奪還できると思って平壌まで行ったが、土壇場で「8名死亡」を告げられ、茫然自失したのではないか。
その後、日本側は北の用意していた昼食をキャンセルしましたが、それは「騙された」「話が違う」という不満の表れでしょう。それならば、その場で机を蹴飛ばして帰国すればよかったのです。
この時、金正日は日朝首脳会談を機に拉致を国家犯罪として認め、主席の立場で正式に謝罪したのです。その上で小泉と金正日は平壌宣言に署名しました。つまり、拉致被害者に関する北朝鮮の説明は、両首脳の間で「事実」として決着したということです。この事実はトップの間で確認されているので非常に重いものであり、拉致問題はこの時点で終わったということです。
日本側も不本意ながらこれを認めました。現に小泉訪朝の当日に、東京では福田官房長官が外務省飯倉公館に拉致被害者の家族全員を招集して、北朝鮮側の説明を伝達しました。国際社会から客観的に見た場合、「両首脳の合意によって事実を確認した上で拉致問題は決着した」ということになります。
とはいえ、これは日本人には受け入れがたい結果です。そのため、小泉訪朝後に国内世論は激高しました。またアメリカは日本の独自外交を快く思っていなかった。その結果、日本はその後に平壌宣言を無視し、国交正常化交渉を進めることができなくなったわけです。
金日成と金正日は親子2代にわたって日朝国交正常化を求めました。金丸信と小泉純一郎はその要求に理解を示したものの、最終的に国内・国際情勢に抗しきれず約束を守ることができませんでした。日朝国交正常化交渉において約束を破っているのは、北朝鮮ではなく日本だということです。……
ついでにキャプチャを貼っておきます。
「約束を破ったのは北朝鮮ではない、日本だ」PDF はこちら。
是非、全文読んでください。少しでも信頼に値する言説を残したいと83歳の石井一氏が
「後世の評価に足る言説を残さなければならないという思いで、長年、日朝議連会長としての度重なる訪朝で得た体験を通して、あえてこの時期にお話します」と応じた会見です。
拉致問題は政治利用しか考えず、北朝鮮とは自分で交渉を試みもせず、海外首脳に会う度に日本への協力と理解ばかり求めて、それを全国放送で自慢する幼稚園児レベルの自称ソウリダイジンとは全く次元の違う本物の政治家たち、私たちの代表として自国と他国共存のために誠意を尽くす人たちが、ついこの間までこの国の行政のトップにいたわけです。
全国民がここに書かれた事実を知り、真剣に議論すべきことではないでしょうか。
月刊日本5月号、650円で他にも良記事満載。バックナンバーの4月号といっしょに買ってしまいました。
月刊日本2018年5月号
内容紹介
特集1 【安倍首相に議員辞職を勧告する】
平野貞夫 安倍政権では国が亡ぶ
玉木雄一郎 安倍政権に正当性はない
藤井裕久 官僚を政局に巻き込むな
福島伸享 自民党は血みどろの権力闘争をせよ
中村慶一郎 安倍退陣へ動く竹下総務会長
菅野完 バカとの戦い
玉木雄一郎 安倍政権に正当性はない
藤井裕久 官僚を政局に巻き込むな
福島伸享 自民党は血みどろの権力闘争をせよ
中村慶一郎 安倍退陣へ動く竹下総務会長
菅野完 バカとの戦い
特集2 【破綻した安倍朝鮮外交】
石井一 約束を破ったのは北朝鮮ではない、日本だ
菅沼光弘 日本は蚊帳の外に置かれている
東郷和彦 新・日朝平壌宣言を締結せよ
菅沼光弘 日本は蚊帳の外に置かれている
東郷和彦 新・日朝平壌宣言を締結せよ
東京都迷惑防止条例改悪─権力批判を封じる安倍政権
本誌編集部記事
望月衣塑子 メディアは権力に屈するな
小林節 安倍政権による言論統制
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これが、ミャンマー「ロヒンギャ問題」の真相だ
小川寛大 ロヒンギャは不法移民だ
小野耕資 イギリスよ、お前が言うな!!――問題の本質は植民地支配の残滓だ
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注目のインタビュー
白井聡 対米従属の原因は「国体」にある