2015年6月28日日曜日

SEALDs 6月27日 「戦争法案に反対するハチ公前アピール街宣」 福田和香子さんのスピーチ書き起こし

NHKはまたもや黙殺したという、昨日6月27日の各地での戦争法案反対デモ、というか反安倍政権デモ、報道ステーションやツイッター、Facebookなどを通して、この動きの拡大が日に日に明らかになってきました。



なかなか参加できないので、画像や映像のついた情報拡散で精一杯ですが、たまたまさっき流れてきた福田和香子さんのスピーチ、大いに共鳴できてしまったので書き起こしました。


たった9分のスピーチだと最初の原稿から色々端折ったのだと思いますが、それでも、今回の運動だけではなく、自分の意見を言うことを是としないこの国の慣習にうんざりしてきた者としては、よくぞ代弁してくれました、という箇所多しです。強調したいところを勝手に太字にしましたw

書き起こしここから:

みなさんこんにちは! SEALDsの和香子です。 いますっごい緊張してるけど頑張って喋りますので聴いて ください。よろしくお願いします。 
先週の金曜日、毎週行われている国会前での抗議活動の様 子が報道ステーションによって全国に届けられました。 そこには、それぞれの思いをこめたプラカードを手にした 私の仲間たちの姿が映っていました。 
 私のスピーチもとりあげられていて、その場で口をついて 出てきた言葉をそのままマイクにつないだ姿に多くの反響 がありました。 続々届く友だちからの「報ステ見たよ。和香子、すごかっ たね」って言葉に、頬を緩ませたのもつかの間、インター ネットの狭いようでとっても広い隅っこでは、思わず画面 を閉じたくなるような罵詈雑言の羅列がなされていました 。 
そんな人たちを尻目に私は、きょうもここに立つことに決 めました。なぜなら私は本気だからです。 
私が皆と同じ制服を着て、毎日同じ方向に向かって座って 勉強していた頃に、空気の読めない人のことを指す「KY」 って言葉が流行りました。 その場にそぐわない発言をすると、どうやらそれに値する らしく、しかし、その他のどの流行りとも同じように、い つの間にかそれは死語になっていて、私だって最近、その 言葉が流行っていたことすら忘れていました。 
しかし、路上に出るようになって最近になってやっと気づきました。場にそぐわない発言をする者が空気の読めない人なわけじゃないんです。 どうやらこの国では、意見をもつ行為そのものが「空気が読めない」ってことになってしまうらしいです。

これってどう考えたっておかしいですよね!?

少しでも真面目に聞こえるような話をすると、「ねぇ、重たいからやめてよ」って、「私はどうでもいいけど、あなたがそう言うなら、じゃあ、私もこうするわ」って…。 同じ衣服に身を包むのをやめたとき、初めて私はこの国の人がとても臆病であることに気が付きました。

アウトサイダーにはなりたくなくて、時にはその自分の脆さを隠すがために、社会的弱者に牙を剥くそんな人間の溢れかえった社会は例に漏れず、独裁的で、そして例外的に頭の悪い権力者を生み出すこととなりました

特定秘密保護法が成立してから2年、集団的自衛権の行使容認がなされてから1年、いま、私たちは、政府が新しく作り出そうとしている安保法制に対して声をあげています。

巷では戦争法案と呼ばれるこの法案、「戦争なんて非現実的だよ」って私ももう何百回も言われました。 
 しかし、自衛隊の活動範囲が広がり、後方支援という名の下、他国の戦争に参加することが可能になる。「自分には関係ないわ」ってすました顔をしてられるのも今のうち。

多額の奨学金、数百万にものぼる事実上の借金を抱え、就職難と言われる中、社会に出ていく若者たちを、経済的徴兵制によって戦地へ送り込む。それはきっと、そんなに難しい話じゃないはずです。 
私はもちろん、戦争経験世代でもなんでもないけれど、その世代がここまで繋いできた平和と呼ばれる日常の中で生きてきました。 
70年間日本はどこの国とも戦争をしてこなかった。どんな眼の色も、どんな言語をしゃべる人にも銃口を向けるような真似はしませんでした。

戦争が一旦始まってしまえば、今まで常識だったものはそうではなくなります。 人殺しは正義とされ、流した血の量が多ければ多いほど、それは勲章として讃えられるでしょう。 
自衛隊や徴兵された若者が、日本人としてどこかの国へ出向き、銃弾を放つことで、何にも拭い去ることのできない憎悪が彼らの血の中を流れます

お隣の国、韓国に対してヘイトスピーチを繰り返す人々がいます。彼らは何度でも繰り返します。 「日韓条約でカタがついているではないか」「我々はすでに経済的な謝罪は済ませたじゃないか」と。 
そうじゃないんです。 戦争が終わる時は、その国のお偉いさんが何かよく解らないような薄っぺらい紙に調印したときではないはずです。

私は2ヶ月ほどまえに辺野古に行きました。座り込みを続ける彼らの中に、米軍の車両が通る度に、むき出しの敵意を口にする人たちがいました。

私は最後まで、その感情を共有することはできなかったけれど、それが私が唯一見た戦争の残した爪あとでした。 被害を被った側の許しを得るには、血は流さずとも闘いは続けます。 
70年前に生み出したその過ちを払拭することのないままに、戦前への道を踏み込もうとしている、そんな現政権に対し、警鐘を鳴らす。これが、今の私にできる唯一の、先の大戦での犠牲者への弔いだと思っています。

ただの大学生が、ただの一人の女が、土曜の渋谷で、こんな場所でマイクを握る。ただの一国民で、まだまだ若いお前に何ができるんだって何度も何度も言われてきました。 
「最近の若者はね」って何か分かったフリをして、悟ってくる大人の声も聞き飽きました。もちろん私はまだ何者でもありません。しかし、だからこそ、今持ちうるすべての可能性や不透明な未来を、いっときの頭の悪い権力者などに奪わせるわけにはいかないのです。 
怯え続けることを、すまし顔を続けるのを、もうやめにしませんか。

平和と言われるこの日常の中で、何もかもが用意されている中で、私たちは気づかぬうちに想像力への敬意を失いました今あるもの全てはいつの間にか、気づかない間に一瞬にして消え去ることができるんだって、そんなことすら忘れきって、もう70年間が経ってしまいました。 
無関心だった大人たちを責めるつもりはありません。ただもう、これ以上素知らぬふりを続けないでください。 
相手はたとえ立憲主義を理解していなかろうが、ポツダム宣言読んだことないって言っていようが、権力者であることには変わりありません私や私の仲間が、こうしてこの場所に、こうやって立つことで、どれだけのリスクをしょっているか、きっと想像に難くないはずです。 
けれど私はこうすることで、私自身がしょいこむリスクよりも、現政権に身を委ねた結果訪れる未来のほうが、よっぽど恐ろしく思えるのです。 
もう他人ごとではありません。
すべての国民が当事者です。 
想像力を捨て、目先の利益に捕らわれ、独裁的な権力者に首を繋がれた、そんな奴隷になりたいですか? 
私は、いま自分が持つすべての可能性をかけて、この法案と、そして安倍政権を権力の座から引きずり下ろします。 そうすることでしか私の望む、そして受け入れるにふさわしい未来がやってこないからです。 
4年前の震災で、私は被災こそしなかったけれど、それが私にとてもたくさんのことを教えてくれました。 
国や権力は助けてくれないんです。どれだけ困ってたって、黙ってても、黙ってたら手を差し伸べてくれるわけじゃないです。 ただそこに座ってたらなにか素晴らしいことがやってくる、そんなのはただの幻想でした。 
身を危険にさらして行動したからといって、必ずしも自分の望むものが手に入るとは限らない。けれど、そうすることで、もしそこに残り1%でも可能性が残っているのなら 私は全てのリスクをしょって、声を上げることをやめません。 そして、そういう同じように思ってくれる人がひとりでも多くいてくれることを心の底から願っています。 
2015年6月27日、私、福田和香子は戦争法案に反対します!

書き起こし、ここまで。


どのスピーカーも、みんなが共感できることを熱く語っていますが、特にスピーチの訓練を受けていない学生スピーカーの中で、福田さんの語りかけが魅力的なのは、肝心なところで原稿を見ないこと。特に、語尾など聴衆の反応をしっかり受け止めるべきところで、目を逸らさないところだと思います。




2015年5月28日木曜日

【リブログ】 ホーキング博士の告白「放射線被曝が誘発する’ALS’ 筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患)」

Spiritus regis: ホーキング博士の告白「放射線被曝が誘発する’ALS’ 筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患)」 D...: ALS=筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)とは、 運動ニューロン疾患=motor neurone disease :MNDの一種である http://www.als-tdf.org/forum/yaf_postst49872_...
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上記リンク先に非常に重要な記事が2012年1月6日にBBCから発信されて、http://www.als-tdf.org/forum/ に掲載されていました。

博士が自らの症状の原因を若いころ原発や核施設周辺で生活したことと特定したのです。2011年に史上最悪の原発事故が日本で起こり、強烈な放射能による被ばくを余儀なくされている住民、特に若者や子どもたちへのことが念頭にあったのかもしれません。

今は、ビタミンCをはじめとする抗酸化物質や、解毒のための酵素・発酵食品などによる放射能防御の知識がいくらか広まっていますが、それでも私たち人類は放射能とのつきあいはまだ非常い浅いので、決してみくびってはいけないと思います。

私は、東京、北関東、福島、宮城南部、その他、土壌汚染が事故前の数千倍ベクレルに達している地域からは、子どもを連れて避難すべきだと思います。

以下、上に紹介したブログ記事の和訳箇所をコピーします。

★★★★

*ホーキング博士(1942年1/8生誕)が、...
70歳の誕生日を期にBBCからの質問をメールで公式に返答したものである。これは宇宙の話ではなく、彼の個人的な同情を誘う話でもない。あまりにも明白な彼の答えは驚くばかりだ。

>BBCからの質問
「博士、貴方の運動ニューロン疾患は、イオン電離放射線(放射線のこと)への過度の被曝が原因で悪化したと考えていますか」
>>ホーキング博士の回答
1)私は、1957年の英国のウインズケール原発事故(現在はセラフィールド原発・・・浜岡の廃棄物を処理)の際、風下付近で過ごし、また、バークシャー州のオーダマストンの英国バーグフィールド原爆施設の風下での生活も経験した。まさに、10代の細胞分裂が盛んなころ、遺伝子が放射線被曝からの影響を一番受けやすいころである。

2)1962年(当時20歳)という世界で原水爆実験のフォールアウト(死の灰)が最も多い時期に、最初の運動ニューロン疾患の影響が表れた
3)10台後半から20代にかけて、オックスフィード在学中に、全天候型のアウトドアスポーツを行ったことが、長い半減期をもつ放射線の被曝の原因となった。
4)バーグフィールド原爆施設の廃水が流れ込む、ケネット河とエンボーン河でまさに私はボートの練習をしていた(訳者注:当然ふんだんに水を浴びている)
5)オックスフォードで数学と物理の学位を取った時に、原子物理学研究室やクラレンドンセンターの核戦争研究所に身を置いたこと。(訳者注:研究中に、放射線施設への立ち入りで被曝があったと予想される)

・放射線科医と民間パイロットの運動ニューロン疾患(MND)による死亡率が統計的に極めて高いこと。
・アメリカ空軍の過去3倍のMNDの増加。
・英国のバークシャー州オーダマストンのバーグフィールド軍事原爆施設とよく似た、米国テキサス州のパンテックス・プラント(核製造施設)のとある郡(訳者注:カーソン郡と思われる)のMNDの増加。

「以上により、私には、イオン電離放射線からの被曝こそが、運動ニューロン疾患の原因であり、悪化させたと言えます。(注:客観的可能性を示唆しています) 」


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2015年5月19日火曜日

「大阪の住民投票結果から見えるもの」 (by渡辺輝人氏)を読んで日本の今後を考える

この日曜、5月17日に行われた大阪都構想の住民投票については、ツイッターでもFacebookでもマスコミでも大きくしつこく話題になっていますが、ぜひ自分のブログにコピーしてとっておきたい記事があったので、ご紹介します。

Yahoo!ニュースに掲載されていた、京都の弁護士、渡辺輝人さんの「大阪の住民投票結果から見えるもの」なのですが、引用したい箇所だらけなので、まるごと頂戴します。

維新の党は、大阪市・大阪府とも単独与党で、莫大な広告宣伝費も使える(ついでに言うと、党首の人格レベルもある意味酷似?)、という点で、プチ安倍自民として有権者を使った実験を行うのに好都合なわけです。今回の動きが安倍政権と無関係ではないと考える人はかなり居たと思いますが、渡辺さんが非常にわかりやすい整理されています。

ぜひ、全文読んで下さい。

なお、個人的に目立ってほしいところには勝手に色をつけて太字にしました。


大阪の住民投票結果から見えるもの

渡辺輝人 | 弁護士(京都弁護士会所属)


大阪市民の皆様、お疲れ様でした。NHKが放送している、橋下氏が政治家を引退する旨を明言する会見を見てからこれを書いております。今日の会見を見る限り、橋下氏は完全に政治家を辞める気のようですね。あそこまで言って前言撤回したら、ただの嘘つきでしょう。

住民投票を取り巻く力関係

橋下氏は、自分をチャレンジャーとして描くのが上手く、今回の住民投票も、ダビデ(橋下氏)がゴライアテ(既得権益)に挑むかのように描かれることもありますが、筆者はこのような見方はあまり的を得ていないと思っています。
お金という次元で見ると、維新の党は今回の住民投票に向けて4億円以上と言われる広告宣伝費用を投入しました。大ざっぱに言って、日本人の130分の2が大阪市民なので、日本全体の規模で考えると(追記:「全国規模で換算すると」という意味です)、250億円以上の広告宣伝費用をつぎ込んだことになります。対する自民党大阪府連の広告宣伝費はニュース報道によると5000万円程度らしいです。
政党の力関係で見ると、大阪市政、大阪府政はいずれも維新の党(大阪維新の会)が単独与党です。擁する府・市議員の数も一番多いです。先の総選挙でも、近畿の比例票一位は維新の党でした。一方、自民党大阪府連は反対派ですが、菅官房長官が半ば橋下氏を支持する発言をしました。官房長官が首相の意に反する発言をするとも考えがたく、官邸は橋下支持だったのです。橋下氏は、選挙期間中の5月5日に休養日を設定し、官邸詣でをしたとも噂されます。安倍首相も今週末は視察名目で兵庫、和歌山あたりに滞在していたらしく、陰で大阪の有力者に色々な話をしていたとしても何の疑問もありません。また、可決されて大阪市が解体された場合、行政の割り変えに伴って建設業には特需が訪れたはずで、さらに、黒字優良企業である大阪市営地下鉄の売却も近い将来に実現した可能性が高いため在阪私鉄各社は都構想実現に強い関心を持っていたはずです。この課題で、関西財界を支持層とする自民党が一枚岩になれるはずはないのです。自民党大阪府連は兵糧を断たれ、後ろから矢が飛んでくる状態での戦いを強いられました大阪の公明党も明確に反対派でしたが、支持団体の中央からはかなり厳しい「動くべからず」という締め付けがあったとも言われています。筆者の周りから聞いた限りでは、地域の創価学会の人たちが反対の声を正面から上げ始めたのは最後の2~3日でした。民主党は先の府・市議選でほぼ壊滅し、社民党も府・市に議席が無いため、残念ながら存在感が大きいとは言えませんでした。筆者が見るところ、気を吐いていたのは共産党ですが、共産党単体でどうにかなる情勢ではなかったのは明らかでしょう。
在阪テレビマスコミは、政治家としての橋下氏を生み出した母体のようなもので、基本的に橋下氏に対して批判的な態度は取れません[引用コメント:NHKもです!]。実際、開票を速報をしていた関西テレビは、否決の結果が出た後に、何故か延々と橋下氏の政治家としての軌跡を流し続け[引用コメント:NHKもです!]、橋下氏が敗北宣言をした記者会見の開始直前に速報番組が終了してしまい、通常のバラエティー番組に移行してしまいました[引用コメント:NHKは長々と橋下に喋らせ続け、無断で23時からのダウントン・アビーをキャンセルしました。]
橋下市長が勝負に打って出た決断は、このような社会的な力関係の下でのものであり、ギャンブルではあるものの、勝算は十分にあったはずです。決して、蛮勇の類のものではなかったと思います。市議選の結果から賛成派の勝利を予想していた記事も見られます。
結論は外れましたが、なかなか正確な予測だったのではないでしょうか。

否決の意義

今回の住民投票は、このような力関係の中で、それでも0.8%差(賛成69万4844票、反対70万5585票)で「大阪都構想」(実際は可決の場合も都はできず、大阪市を廃止して5つの特別区を設置するものですが)を否決したものです。先の沖縄知事選挙と同様、域内の政治勢力が激突した「天下分け目の関ヶ原」だったわけで、物量で圧倒的に優勢で、かつ、半ば首相官邸の支持を受けた与党が敗北した政治的意義は決して小さくないでしょう。否決後の記者会見で、橋下氏が記者から政治家続投について水を向けたにもかかわらず、引退を明言し続けたのも、単なる気まぐれを超えてこのような文脈があるように思われます。
また、今回の住民投票は、「大阪都構想」が、堺市の事実上の離脱で当初の構想が崩れ、かつ、方々で言われることですが、大阪市議会での議論も極めて不十分なまま行われたものです。NHKの出口調査でも、反対の理由は、議論が不十分という理由が多かったようです[引用コメント:NHKはこれをほとんど伝えず、高齢者や補助金の世話になる人たちがこれまでどおりがいいと言っているというインタビュー流しまくりです。]。これは筆者の私見ですが、橋下氏は、今後時間を掛けて大阪都構想の議論が深まっても勝てる見込みがないと考えていたから、議論が生煮えの状態でリスキーな勝負に出たのでしょう。実際、自治権の拡大を求める住民投票というのは世界各地で行われていますが自分から自治権の縮小を申し出る住民投票というのは稀で、筆者から見ても、住民へのメリットは最後までよく分かりませんでした。もちろん、行政の割変えの過程で、上記の市営地下鉄や建設特需のように現在の市民の「既得権」(実際にそう呼ぶべきものかは分かりませんが)を取り上げ、利益に浴する人々は確実にいるはずなので、合理的な思考として大阪市の解体に賛成する人が沢山いることにも何の不思議もありません。
いずれにせよ、それぞれの市民がそれぞれ一市民として利益を得る見込みが何もないまま、現状の枠組みを破壊する住民投票が可決された場合、それが政治に与えたインパクトは極めて大きかったでしょう。過半数に届かない相対的な多数派が広告宣伝費を大量投入し、あるかどうかも分からないバラ色の未来を喧伝しさえすれば、住民や国民にとって不利な内容でも、民主主義の名の下に住民・国民に飲ませることができる、ということになったはずだからです。逆に言えば、総力戦の末に、0.8%の差を付けて、野党の立場にある反対派が勝利したことは、この国の「買収されない」「騙されない」民主主義の在処を示したように思えます。また、個人的には、敗れたとはいえ、70万近い市民の支持を受けながら、一人で席を立ってしまうような市長が勝たなくてよかったと思っています。[引用コメント:本当に信念をもって市民のためと思って闘ったなら、これほどの僅差であれば賛同者らと共に次を目指すほうが誠実でしょう。政治生命を賭けて闘った、とテレビニュースは橋下賛美していますが、優先順位が違うのでは?]

シルバー民主主義?

NHKの出口調査を見る限り、賛成票は30代が一番多く、それ以上の世代では徐々に反対票が多くなり、70代では反対派が多数派になるようです。20代も30代より反対票が多いのも特徴です。これをみて「シルバー民主主義」「若者の敗北」と評論する向きもあるようですが、大阪市の解体が若年層を利するものとは言えないはずで、評価としては単純すぎる気がします。20代の反対が30代より多いことの説明も的確に出来ないように思います。筆者の体験からしても、子供を持ち、育て、定住して地域につながりを持ち、自らも老いていく中で、地方行政との関わりが強くなっていくので、今回の課題で年齢が上がるほど反対票が増えるのはそれほど不可思議なことではないと思います。一言で言えば、学校を卒業した後、地域に根を張り始める前の若年層は地方自治との利害関係が薄いのです。
むしろ、筆者には、大阪市の中心部の区では総じて賛成が多数派で、尼ヶ崎寄り、海側、南側など、大阪市の周辺部で総じて反対票が多いことの方が印象的です。これが、改革により利益を得る可能性の高い(維新のCMを見れば分かりますが、大阪都構想で描かれる未来は大規模開発による未来です[引用コメント:安倍内閣の発想と同じ!昭和の土建屋行政の続きです。])市内中心部の強者と、置いて行かれる可能性の高い周辺部の人々、という構図を示しているとすれば、大阪市民は、それぞれの地域で、それぞれの利益に沿った妥当な判断をしたことになるでしょう。
そして、大阪都構想を否決したからと言って、大阪市が現実に抱える課題が何も解決しないのも事実です。筆者の住む京都もそうですが、地方の疲弊は凄まじいものがあり、大阪市も引き続く地盤沈下にどう対処するのかが重い課題なのです。しかし、筆者は、これに関して言えば、問題点をあぶり出し、不十分ではあっても、全市民的に議論をした大阪市民をちょっと羨ましく思っています。「問題の解決に近道はない」と分かったところから真剣な議論が始まると思うからです。

国政への影響、改憲の国民投票

筆者は、大阪市の住民投票は、安倍政権にとっては憲法改正の国民投票の予行演習だったのではないか、と思っています。それは直接投票により結論を出す、ということだけではなく、権力を持ち、政治に責任を負っている側が積極的に虚実ない交ぜの「バラ色の未来」を描く政策宣伝、多額の広告資源の投入、金(広告料)と恫喝による報道機関の押さえ込みなどで、国民の意思を「買う」ことができるかどうかの実験だったのです。その目論見が上手くいかなかったことは、安倍政権が掲げる憲法改正の国民投票の実施にも少なからず影響を与えるでしょう。そして、改憲課題で安倍首相の閣外協力者だった橋下氏が(同氏の言葉を信用するなら)政界を去ることでもブレーキが掛かるはずです。一方、改憲派が住民投票の失敗から教訓を引き出し、新たな作戦を考え始めるのも必定です。筆者もそうである日本国憲法を擁護しようとする側も、住民投票から教訓を引き出し、憲法を守るためにはどのような議論が必要なのか、検討が必要でしょう。

また、今回の住民投票は、公職選挙法の選挙運動規制が撤廃されたときに、どれだけ自由な選挙活動が出来るかも示したように思います。筆者は、ツイッターやフェイスブックを経由して、市民が手製で作成したビラやポスターを多数見かけました。もちろん、金に任せたテレビ広告等を規制するために、選挙費用の上限は決めるべきだと思いますが、市民が政治について自発的に考え、意見表明するためには、公職選挙法の選挙運動規制の撤廃が急務であると感じられました
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