「へぇ~」と読み流してしまうマスコミ記事がお約束のビタミンC。真実がわかると多くの医療機関や製薬会社は倒産するので目立つ報道にはなりませんが、首都圏の朝の通勤電車でパタパタと人が倒れ始めた昨今、決して過小評価してはいけないのが、やはりビタミンCの強力な抗酸化力です。食べて応援していた愚をやっと後悔し始めた人も、まだ救われるチャンスは大いにあります(°◇´°)。
ということで、致死量を浴びてしまってもサバイバルのチャンスはまだまだある、という大事なおさらいです。
放射線の被ばくとビタミンCでの予防・治療に関して防衛医大(木下学准教授ら)の論文が発表され、ネット上でシェアされてきたのは、これまでに3回。
1回めは2010年3月。点滴療法研究会がそれを参考に、事故を起こした福島第一原発の建屋内に入って数週間作業して被曝していた5人の作業員らを、ビタミンCの点滴と経口摂取で完治に導きました。
3回めは米科学誌プロスワン電子版に今年2月4日に掲載され、なぜか今回はマスコミが報道して全国にある程度知られるところとなりました。
で、その間に2回めの論文発表があるわけですが、私はそのことを別記事「ビタミンCの発見者セント=ジェルジ博士が生きていたら」のコメント欄に寄せられた情報で知りました。その重要性を見落としていたので、ここにコピーして注目したいと思いますが、まず、この3つの論文の何が違うのかをまとめておきます。
- 2010年3月「アスコルビン酸(ビタミンC)の前投与は大量放射線照射を受けるネズミの致死胃腸障害を予防する(Pretreatment with Ascorbic Acid Prevents Lethal Gastrointestinal Syndrome in Mice Receiving a Massive Amount of Radiation, Journal of Radiation Research)
- 2013年9月「放射線照射前と後のアスコルビン酸投与の組み合わせがネズミを致死胃腸障害から守る(A Combination of Pre- and Post-Exposure Ascorbic Acid Rescues Mice from Radiation-Induced Lethal Gastrointestinal Damage, Internasional Journal of Molecular Sience)」
- 2015年2月「放射線照射されたネズミのアスコルビン酸(ビタミンC)大量投与による治療は、致死性を低減した(Treatment of Irradiated Mice with High-Dose Ascorbic Acid Reduced Lethality, PLOS ONE)」
1は放射線を浴びる前のビタミンC投与、
2は浴びる前と後の両方、
3は浴びた後の投与、という違いがあります。
多くの事故の場合、事前にビタミンCを飲んでおくことは不可能ということで、防衛医大のチームが放射線照射後だけの投与の有効性を検証し、その結果、致死率が激減したので2015年2月の論文はマスコミ報道に至った、ということかもしれません。(これに関しては、Togetterのまとめがわかりやすいです。)
ですが、私たちはもうたとえ稼働していなくても原発事故でどれだけの放射能リスクがあるかを認識するようになってきているし、すでに東京電力の福島第一から撒き散らされて積もった、そして現在も垂れ流されつつある放射能の中で生きています。なので、日頃からの予防がどれほど大きな意味があるかも知るべきだと思うのです。
ということで、2013年9月に木下学准教授らが発表した論文の解りやすい抄訳・解説を、冒頭に書いた別記事コメント欄から感謝をこめて、ここへコピーします。
匿名2013年12月5日 14:17
At the early phase of Fukushima nuclear accident in March, 2011,
rescue team of national defense army took oral Vitamin C for the protection from radiation injury.
「福島原発事故で緊急出動した自衛隊員は被ばく防御のためにビタミンCを飲んでいた」
原発事故1年前に防衛医大と陸上自衛隊の研究者らは、
急性被ばく障害を防御するためにビタミンCの前投与が有効であるという実験結果を論文で発表しました。
9月27日、同じ研究グループが続編とも言うべき研究論文を出しました。
マウスの腹部に13Gの放射線を照射すると全例が急性胃腸壊死で死亡します。
照射3日前にビタミンC水溶液を250 mg/kgで3日間経口投与、照射8時間前に250 mg/kgを経口で1回投与、
照射後にビタミンC水溶液を250 mg/kg で7日間投与の3種類の投与法を組み合わせて生存率を観察しました。
個々の投与法単独の生存率は20%以下でしたが、
3つのビタミンC投与を全部組み合わせると、生存率は100%でした。
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興味深いことは、自衛隊が福島原発事故時に緊急出動したとき、
「トライアルとしてボランティアの自衛隊員にビタミンCを摂取させた」と記載していることです。
私は論文の著者らが、自らの実験研究結果から、
原発事故現場に向かう自衛隊員を守るためにビタミンCを摂取させたことに、同じ研究者として尊敬します。
今なお、私たちが政府、東電、自治体、建設会社に作業員や住民にビタミンCの摂取ができるよう提案し続けても、
いまだ無視されたままです。しかし、私たちはこの運動を末永く続けていきます。
この論文は下記よりフリーにダウンロードができます
http://www.mdpi.com/1422-0067/14/10/19618/pdf
最後のPDFリンクはClickするとすぐにダウンロードが始まるので、ブラウザで読みたい方は上記”2013年9月”の論文の英文タイトルか、こちら(Google Document PDF)をClickしてください。
放射能関連の単位に精通している方は驚かれると思います。13Gの放射線と書いてあるのは、13Gy、つまり13グレイ(Gray)、ほぼ10シーベルト(Sv)。
JCOで外部被ばくなのに内蔵から焼けただれて酷い死に方をされた大内久さんや篠原理人さんが受けた放射線に匹敵するような量です。しかもマウスの体で。ただし、この実験は飽くまで腹部に照射した場合であって、同じ量を脳を含む全身に照射した場合は結果は異なります。
ちなみに、放射能に関する法律がまだ守られていた3.11前は、私たちの年間被ばく限度が1ミリシーベルト、即ち、1年間で1シーベルトの1000分の1。本当は1時間あたり0.114マイクロシーベルト(μSv/h)を超えることもよくないわけです。
マウスの小さな体で10シーベルトもの放射線を腹部に受けると、ビタミンCを飲まない場合はそのまま死にます。3日間毎日、キロあたり250mgのビタミンCを投与しても、被ばく8時間前の追加や、被ばく後の投与がなければ8割は死にます。被ばく前に飲んでいなければ、この実験では後から飲んでもほぼ全部死にました。
マウスの小さな体で10シーベルトもの放射線を腹部に受けると、ビタミンCを飲まない場合はそのまま死にます。3日間毎日、キロあたり250mgのビタミンCを投与しても、被ばく8時間前の追加や、被ばく後の投与がなければ8割は死にます。被ばく前に飲んでいなければ、この実験では後から飲んでもほぼ全部死にました。
このように、腸壁などボロボロになってしまうほどの大量の放射線を浴びているのに、照射前3日間プラス8時間前の追加、照射後7日間のビタミンC投与で、生存率100%。実際に、胃腸も元に戻ったんです。
しかも点滴投与は行っておらず、蒸留水にアスコルビン酸を入れた水溶液を飲ませたのみ。(ちなみに、追加の250mg/kgを8時間前ではなく2時間前に投与した場合は、この効果は出なかったとのこと。VCが吸収されてから有効に働くまで時間が必要なことがわかります。)
”250mg/kg/4mL/Day”ということは、体重1キロあたり250mgのビタミンC粉末を4ccの水に溶かして、それを毎日飲む。マウスの体重は数百グラムだから実際には250mgより少ない量ということですが、これを人間で考えると、例えば体重50kgの人なら1日12.5gのビタミンC。メガビタミンやビタミンC点滴の場合は1日に100gを投与することもありますから、それほどの量ではありません。
また、アスコルビン酸というのは水溶性がむき出しで、普通のビタミンCサプリと変わらないので、8~9割が排出されてしまうとも考えられますが、人間の場合、一度に摂取する量が20mgまでは生体利用効率は98%だが、30mgから劇的に下がるという研究もある一方、1度に200mgまでであればほとんどが体内吸収されるという研究もあります(後者は米国立衛生研究所)。
でも、リポスフェリック・ビタミンCやリプリセル・ビタミンCなど、リポソーム封入のビタミンC(以後、リポC)であれば、9割以上が腸まで届いて吸収されるので、同量のアスコルビン酸そのままの場合の8~10倍の効果が期待できます。つまり、アスコルビン酸を12.5グラム飲むより、リポCを2包飲むほうが効果的かもしれません。
ここで、点滴療法研究会が、被ばく予防のために提言している、ビタミンCの摂り方の例を紹介しておきます。
自然界より2倍とか5倍以上高い放射線量の環境で、リポCを1日2包程度でいいのかと思うと意外な気もしますが、これは、その他のことが食事で補われているという前提だったと思います。また、汚染された食品を食べた場合の内部被ばくは想定されていないと思います。(実際、低汚染地に住んでいても、疲労が激しいときはリポC2包では足りません。予防と治療は別物。)
なお、マウスでの実験を人間に直接あてはめることはできないとは言いますが、体重換算で概算することは実際に臨床で患者の諸症状を劇的な改善に導いている医師や研究者の多くが行っています。実際的な参考になるわけです。
ただ、マウスは1日に体重1キロあたり275mgのビタミンCを体内合成できるので、それができないヒトの場合、そこは差し引いて考えなければいけません。
ただし、この論文の実験の間、マウスはビタミンC水溶液しか口にしていないと書いてあるので、ビタミンCを体内合成するための食物が入っていっていないのではないかとも思います。
マウスが必要とする比率でのタンパク質をビタミンCと一緒に補えば、健康回復の効果はさらに高まるのではないかと思うのですが、少なくとも被ばく関連でこうした研究はまだないと思われます。
ビタミンCというと、その抗酸化力だけに目が行きがちですが、ビタミンCの役割は非常に多く、活性酸素を除去するだけでなく、骨折からの快復にも、血管壁、骨、皮膚、腱、軟骨などのコラーゲンを作るにも必要で、そのための分子構造が細胞強化、細胞修復の繋ぎ役として重要なわけです。
つなぎ役であるからには、繋がれるほうも重要です。それがタンパク質であり、必須アミノ酸です。
疲れているときは焼き肉でスタミナつけようとか言いますが、あれは体が必要とするタンパク質を補っているわけです。
疲れているときは焼き肉でスタミナつけようとか言いますが、あれは体が必要とするタンパク質を補っているわけです。
三石巌先生がビタミンC以上に重要性を説いてきたアミノ酸スコア100の良質タンパクも、特に日本人には非常に不足しやすいので、日々の細胞修復のためには乾燥重量で体重の1000分の1の量(50kgの人なら50g)を意識的に摂る必要があります。
次回はタンパク質について、もう少し掘り下げてみます。
食事だけで必要な良質タンパクを摂るのは大変なので、こういうプロテインがおすすめです。気に入ったら3パックセットにすると安くなります。このBODYWINGの大豆プロテインは大豆臭が少なく、水に溶けやすい上、3kgで5,000円ちょっと(送料込)なのでコスパはいいです。
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