2月の記事、「コラーゲンをつくるにもビタミンCが要る」に関連するエピソードです。
点滴療法研究会の動画にも登場するDr スティーブ・ヒッキーの共著である、VITAMIN C: The Real Story(ビタミンC、本当の話)からの引用が中心です。(英語原文の抜粋メモはこちら⇒Re: Irwin Stone, PhD)
ビタミンCの研究でポーリング博士に大きな影響を与えた重要な研究者のひとり、アーウィン・ストーン博士(1907-1984)にまつわるエピソードをご紹介します。
今ではビタミンCを食品保存料として使うことはありふれたことですが、この酸化防止方法は、工業科学者であったストーン博士が考案した技術でした。
これをきっかけに、博士はビタミンCに関する26の特許をとり、120の論文を書いています。そして、ビタミンCが商品として入手できるようになってからは、自分の食生活に積極的に取り入れるようになりました。研究するうちに、大量のビタミンCが体にとって非常に重要と確信するようになったためです。
ストーン博士はヒトが自分で体内合成できないビタミンCを遺伝的に必要としており、それを食事によって補う必要があると考えました。実際に体が必要とするビタミンCの量は、国が定めた1日の所要量の100倍以上だとしています。
これは、ビタミンCを体内合成できる他の哺乳動物がつくる量をもとにしており、この必要性を無視すれば命に関わることになると、何度も提言しています。
たとえば、乳幼児が眠っている間に突然呼吸が停止して死亡してしまう、乳幼児突然死症候群(SIDS)は、母親が妊娠中に十分なビタミンCを摂っていないことが原因で、潜在的な慢性壊血病にかかって生まれてくる、というオーストラリアの医師らの報告があります。
壊血病はビタミンC欠如のために、体中の細胞どうしの繋がりが弱くバラバラになって破壊されていく病気ですが、ビタミンB1不足が原因とされる脚気に似ています。歯茎の出血などで始まり体じゅうの皮膚、骨、血管などの細胞が壊れて苦しみながら死んでいく辛い病気です。
ストーン博士は、ビタミンC欠如が認識されないがために、毎年1万人以上の赤ん坊が、防げるはずのSIDSで死亡していると警告しているのですが、医学界は壊血病というのは過去の病であるとして、それを無視し続けました。
戦後、食料が豊富になりましたが、ストーン博士は、壊血病は一般に認識されるより実際には、はるかに広く罹患しており、ビタミンCを「微量栄養素」として扱うのは間違っていると考えていました。
ビタミンは、ミリグラム単位ではなく、グラム単位、それも1日2桁3桁のグラム数が必要と考え、ビタミンの大量摂取を表す「メガビタミン」という言葉を作りました。
微量でいいような誤解を招く「ビタミンC」という名称を嫌い、代わりに学名である「アスコルビン酸」(Ascorbic Acid, Ascorbate) という呼称を博士が好んだことはよく知られています。これはビタミンCの研究者が共有する思いでもありました。
ライナス・ポーリング博士は66歳の時に、ストーン博士に出会ったとき、発展を続ける科学を見届けるために、あと25年くらい長生きしたいと話したところ、ストーン博士は、「メガビタミンをとることで、達成できますよ」と言ったそうです。ポーリング博士は、その後、93歳まで元気で頭脳明晰のまま長生きしました。これもよく知られるエピソードです。
この毎日数十グラムを摂取する「メガビタミン」主義によって、ストーン博士はその後、友人や自分の命を救うことになります。
ある時、旅先でストーン博士夫妻が車での移動中、泥酔した女性ドライバーが時速130キロで正面から突っ込んできたため、車は大破、夫妻も通常なら搬送する間に死亡するほどの大怪我をして病院に運ばれました。
博士は右腕以外の四肢の関節を含む全身骨折で、大量に出血しており、ショックによって死亡する可能性が高い状態でした。が、5つもの大手術を連続して受けたにも関わらず、夫婦は3か月経たないうちに、3000kmの列車の旅で病院から自宅に戻ったのです。
ストーン博士は車のハンドルが食い込んだために喉が深く傷ついていて、医師は、もう二度と喋ることはできないだろうと告げたのですが、帰宅2ヶ月後には話せるようになったのでした。
入院中、意思表示ができるようになってすぐに、1日50~60グラムのビタミンCを求めたそうですが、それが快復を助けたことは否定できません。また、重症からの全身の治癒が早かったのは、何十年もの間、メガビタミンを摂ってきたためであるとしか考えられないと博士は言っています。
(ビタミンCが疾病を治癒するだけでなく、体の細胞組織を強化する一例としては、「コラーゲンを作るにもビタミンCが要る」という拙ブログ記事をご参照ください。
⇒http://post-311.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html)
1982年にストーン博士は、ビタミンC発見によるノーベル賞受賞者であるセント-ジェルジ博士に手紙を書いているのですが、その中で、末期ガン告知された友人の話が出てきます。
その友人は44歳で前立腺ガンと診断され、外科手術や放射線治療を受けたものの、骨盤に広く転移をしたために余命1年と告げられたのでした。1978年11月のことでした。
ストーン博士のアドバイスで、1979年からこの友人は1日80グラムのビタミンCを飲むようになり、医者が死を予告していた時期は過ぎても全く健康に問題はなく、毎日元気に過ごしているとのこと。
見た目は、末期ガン患者というより、アスリートのようだと書かれています。この頃、この元(?)ガン患者は1日のビタミンCの摂取量を最大150グラムまで上げていたようです。
この話は、ストーン博士が繰り返した「メガビタミンの必要性の認識は命に関わる」という提言を裏付けることにもなりました。
約100グラムとなると、栄養素というより、肉や魚の感覚ですよね。
メガビタミンの歴史でも、経口摂取でこれほどの量をとるというのは、珍しいです。アスコルビン酸は、そのままだとお酢程度の酸味があって、カプセルなどに詰めないと何十グラムも飲み切れません。
(ビタミンCは強酸だという人がいますが、それは間違いで、お酢程度であれば、胃酸がうまく消化できます。)
ストーン博士は熟知していたことですが、ビタミンCは水溶性なのでそのままの状態では簡単に排泄されてしまうこともあり、1日中頻繁に摂らないと効果が薄れてしまうのです。(だからこそ大量摂取しても安全なのですが。)
ポーリング博士は、ビタミンC粉末を詰めたカプセルを胸ポケットに入れていて、会話の途中でも頻繁に口にそれを放り込んでいたといいます。ストーン博士に倣ったのかもしれません。
栄養素はどれも大事ですが、良質タンパク質とビタミンCほど大量に必要で、不足しがちなものは他にないといいます。タンパク質なら体のどこに使われているかすぐ想像がつきますが、ビタミンCも微量ではすまないのです。
では、なぜビタミンCは、タンパク質並みに大量に必要なのか、これには、分子栄養学を確立した三石巌氏が、「カスケード理論」という説得力のある仮説を立てています。
ビタミンCは、骨や肉、血管などのコラーゲン生成に寄与したり、抗酸化作用で疾病を予防や治癒したりしますが、で全部3000くらいの働きがあると考えられています。
主に酵素が働く場合に使われます。
体のどこに優先されるかが、個々の遺伝子によって異なることを解き明かしているその「カスケード理論」を、次回はご紹介します。
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ビタミンCの研究でポーリング博士に大きな影響を与えた重要な研究者のひとり、アーウィン・ストーン博士(1907-1984)にまつわるエピソードをご紹介します。
今ではビタミンCを食品保存料として使うことはありふれたことですが、この酸化防止方法は、工業科学者であったストーン博士が考案した技術でした。
これをきっかけに、博士はビタミンCに関する26の特許をとり、120の論文を書いています。そして、ビタミンCが商品として入手できるようになってからは、自分の食生活に積極的に取り入れるようになりました。研究するうちに、大量のビタミンCが体にとって非常に重要と確信するようになったためです。
ストーン博士はヒトが自分で体内合成できないビタミンCを遺伝的に必要としており、それを食事によって補う必要があると考えました。実際に体が必要とするビタミンCの量は、国が定めた1日の所要量の100倍以上だとしています。
これは、ビタミンCを体内合成できる他の哺乳動物がつくる量をもとにしており、この必要性を無視すれば命に関わることになると、何度も提言しています。
たとえば、乳幼児が眠っている間に突然呼吸が停止して死亡してしまう、乳幼児突然死症候群(SIDS)は、母親が妊娠中に十分なビタミンCを摂っていないことが原因で、潜在的な慢性壊血病にかかって生まれてくる、というオーストラリアの医師らの報告があります。
壊血病はビタミンC欠如のために、体中の細胞どうしの繋がりが弱くバラバラになって破壊されていく病気ですが、ビタミンB1不足が原因とされる脚気に似ています。歯茎の出血などで始まり体じゅうの皮膚、骨、血管などの細胞が壊れて苦しみながら死んでいく辛い病気です。
ストーン博士は、ビタミンC欠如が認識されないがために、毎年1万人以上の赤ん坊が、防げるはずのSIDSで死亡していると警告しているのですが、医学界は壊血病というのは過去の病であるとして、それを無視し続けました。
戦後、食料が豊富になりましたが、ストーン博士は、壊血病は一般に認識されるより実際には、はるかに広く罹患しており、ビタミンCを「微量栄養素」として扱うのは間違っていると考えていました。
ビタミンは、ミリグラム単位ではなく、グラム単位、それも1日2桁3桁のグラム数が必要と考え、ビタミンの大量摂取を表す「メガビタミン」という言葉を作りました。
微量でいいような誤解を招く「ビタミンC」という名称を嫌い、代わりに学名である「アスコルビン酸」(Ascorbic Acid, Ascorbate) という呼称を博士が好んだことはよく知られています。これはビタミンCの研究者が共有する思いでもありました。
ライナス・ポーリング博士は66歳の時に、ストーン博士に出会ったとき、発展を続ける科学を見届けるために、あと25年くらい長生きしたいと話したところ、ストーン博士は、「メガビタミンをとることで、達成できますよ」と言ったそうです。ポーリング博士は、その後、93歳まで元気で頭脳明晰のまま長生きしました。これもよく知られるエピソードです。
この毎日数十グラムを摂取する「メガビタミン」主義によって、ストーン博士はその後、友人や自分の命を救うことになります。
ある時、旅先でストーン博士夫妻が車での移動中、泥酔した女性ドライバーが時速130キロで正面から突っ込んできたため、車は大破、夫妻も通常なら搬送する間に死亡するほどの大怪我をして病院に運ばれました。
博士は右腕以外の四肢の関節を含む全身骨折で、大量に出血しており、ショックによって死亡する可能性が高い状態でした。が、5つもの大手術を連続して受けたにも関わらず、夫婦は3か月経たないうちに、3000kmの列車の旅で病院から自宅に戻ったのです。
ストーン博士は車のハンドルが食い込んだために喉が深く傷ついていて、医師は、もう二度と喋ることはできないだろうと告げたのですが、帰宅2ヶ月後には話せるようになったのでした。
入院中、意思表示ができるようになってすぐに、1日50~60グラムのビタミンCを求めたそうですが、それが快復を助けたことは否定できません。また、重症からの全身の治癒が早かったのは、何十年もの間、メガビタミンを摂ってきたためであるとしか考えられないと博士は言っています。
(ビタミンCが疾病を治癒するだけでなく、体の細胞組織を強化する一例としては、「コラーゲンを作るにもビタミンCが要る」という拙ブログ記事をご参照ください。
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1982年にストーン博士は、ビタミンC発見によるノーベル賞受賞者であるセント-ジェルジ博士に手紙を書いているのですが、その中で、末期ガン告知された友人の話が出てきます。
その友人は44歳で前立腺ガンと診断され、外科手術や放射線治療を受けたものの、骨盤に広く転移をしたために余命1年と告げられたのでした。1978年11月のことでした。
ストーン博士のアドバイスで、1979年からこの友人は1日80グラムのビタミンCを飲むようになり、医者が死を予告していた時期は過ぎても全く健康に問題はなく、毎日元気に過ごしているとのこと。
見た目は、末期ガン患者というより、アスリートのようだと書かれています。この頃、この元(?)ガン患者は1日のビタミンCの摂取量を最大150グラムまで上げていたようです。
この話は、ストーン博士が繰り返した「メガビタミンの必要性の認識は命に関わる」という提言を裏付けることにもなりました。
約100グラムとなると、栄養素というより、肉や魚の感覚ですよね。
メガビタミンの歴史でも、経口摂取でこれほどの量をとるというのは、珍しいです。アスコルビン酸は、そのままだとお酢程度の酸味があって、カプセルなどに詰めないと何十グラムも飲み切れません。
(ビタミンCは強酸だという人がいますが、それは間違いで、お酢程度であれば、胃酸がうまく消化できます。)
ストーン博士は熟知していたことですが、ビタミンCは水溶性なのでそのままの状態では簡単に排泄されてしまうこともあり、1日中頻繁に摂らないと効果が薄れてしまうのです。(だからこそ大量摂取しても安全なのですが。)
ポーリング博士は、ビタミンC粉末を詰めたカプセルを胸ポケットに入れていて、会話の途中でも頻繁に口にそれを放り込んでいたといいます。ストーン博士に倣ったのかもしれません。
栄養素はどれも大事ですが、良質タンパク質とビタミンCほど大量に必要で、不足しがちなものは他にないといいます。タンパク質なら体のどこに使われているかすぐ想像がつきますが、ビタミンCも微量ではすまないのです。
では、なぜビタミンCは、タンパク質並みに大量に必要なのか、これには、分子栄養学を確立した三石巌氏が、「カスケード理論」という説得力のある仮説を立てています。
ビタミンCは、骨や肉、血管などのコラーゲン生成に寄与したり、抗酸化作用で疾病を予防や治癒したりしますが、で全部3000くらいの働きがあると考えられています。
主に酵素が働く場合に使われます。
体のどこに優先されるかが、個々の遺伝子によって異なることを解き明かしているその「カスケード理論」を、次回はご紹介します。
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