私たちの自律神経には、交感神経と副交感神経があり、そのバランスが大事ということは心療内科の医師らもよく口にするところです。
筋肉を使ったり、ストレスを受けて興奮しているときに活発なのは
-→交感神経。
リラックスしている時、睡眠時、飲食物の消化時に使われるのは
-→副交感神経。
これら自律神経に関して、白血球との関係を研究してきた免疫学者、安保徹先生の、新生児に関する発見のお話を紹介します。
ほとんどの疾患の原因や改善方法が、人体の仕組みの中で共通しているという認識で、このブログでも栄養素を何度かとりあげてきました。
今回は栄養素は登場しませんが、全身にいきわたる自律神経や白血球に注目した免疫システムを考えると同じことが言えるため、そこに注目します。
自律神経である交感神経と副交感神経の働きは、骨髄から出る白血球の構成の変化に関係しています。
白血球は、ふだんは血液の中をくまなく循環しています。重量比では赤血球96%に対してたった3%ですが(1%は血小板)、異物が入った時にいつでもその現場に辿りつけるように監視体制をしている細胞です。
白血球は大きくわけて次の3種類あります。
●マクロファージ、
●顆粒球(かりゅうきゅう)、
●リンパ球
顆粒球とリンパ球はマクロファージをもとにしてうまれたものです。
マクロファージは血管を流れるときはふつうの球状ですが、アメーバのように居場所によってその形を変え、異物があれば飲み込み、炎症があるとその場へかけつけるという白血球の基本細胞です。
たとえば、血液の中に墨汁を入れたりすると、まず血管内皮細胞がどんどん墨汁の微粒子をのみこんで、血液中から排除します。すると、マクロファージがやってきてのみこみます。これは栄養にもならないし、酵素でも分解できないし、と判断して、時間をかけて腸に運んで排泄するかあるいは肺に運んで痰にして出します。
白血球のなかのマクロファージは5%ぐらいで、顆粒球が60%、リンパ球が35%ぐらいの比率です。
顆粒球はマクロファージよりさらに大食いで、細菌の様な粒子の大きい異物を丸ごと飲み込んで、消化酵素と活性酸素を使って分解・紛糾します。
花粉やダニの死骸などが微生物などによって分解された果ての粒子など、微細な粒子だと、小さすぎて飲み込み作用が働かないので、接着させて異物を捕らえるようになったのがリンパ球です。
リンパ球は接着分子を使って、微細な抗原(ウィルスなど)を処理する免疫系をつくりあげました。
厳密な意味での免疫というのは、このリンパ球の働きであって、顆粒球が細菌などをのみこんでその場ごとに処理することは免疫とはいいません。
顆粒球もリンパ球も、異物排除には重要ですが、どちらも過剰になると体によくないことをひき起こします。
今回はストレスで増加する顆粒球についてみていきます。
顆粒球は、ほんの1~2日の寿命の細胞です。骨髄で作られて、血流の中に出て、最後は粘膜で死にます。このルートで顆粒球が活性化すれば、あちこちの粘膜が破壊されていきます。
たとえば、皮膚の上皮。寝不足だったり夜遅くまで仕事をすると、翌朝の髭そりやお化粧のときに、ポツポツ吹き出物のようなものが出ているのがみつかったりしますよね。
皮膚は破壊されにくいのですが、その下にある皮下組織や汗腺はとても敏感で破壊され易いので、顆粒球が増えすぎるとブツブツになってしまいます。
重要なのは、細菌による感染症になっているのでなく、ただストレスがあれば単独で顆粒球が血中や組織中に激増し、しばらくすると粘膜に辿りついて、そこで組織破壊を起こすというメカニズムがあるということです。
こうした顆粒球増多のストレス原因説を裏付けているのが新生児だったのです。
大人の白血球の数はだいたい(血液1マイクロリットル中)5~6千個で、1万個を超すことは滅多にありません。ところが、新生児は出生時の白血球が1万5千個もあり、そのほとんどが、顆粒球です。
ものすごいストレスに晒されたということです。
ここで大抵の人は狭い参道を通ってくるストレスだと考えるのですが、安保先生の考えは違いました。調査で確認されたのは次のとおりです。
母親の胎内からこの世に出てきたときの一番の変化は酸素の取り入れ方です。へその緒で血流を通して母体経由で酸素交換をおこなっていたのがオギャアと泣いた瞬間に、自前の肺が膨らんで酸素を採り入れる方法にかわります。
このとき体内に入ってくる酸素濃度も一気に上がります。そして代謝が一気に上がりストレスとなります。
楽に鳴き声を上げている赤ちゃんはなく、まるで死にそうなくらいに苦しそうな、真っ赤に鬱血した顔をしています。(だから「赤ちゃん」と呼ぶんですね。)
そして酸素を吸って白血球(とくに顆粒球)がどんどん上がって、泣きやむころには「顆粒球増多症」が完成しています。
これは新生児に起こる一連の現象の謎解きにつながっています。
新生児は生まれてすぐにはミルクを飲むことができないので、1、2日の間は体重が減り、身体もしぼんでしわしわになります。これは、酸素の吸い過ぎで興奮して顆粒球が増え、交感神経が極度の緊張状態にあるためです。
消化器官の働きというのは、副交感神経が支配しているので、交感神経緊張状態にあるうちは、おっぱいにしゃぶりついても飲めないのです。その後、2、3日めには興奮が完全にとれて飲めるようになります。
赤ちゃんの顆粒球は血管だけでなく、肝臓でも増えていて、肝障害のような数値が出ます。
胎内にいるあいだは肝臓で造血を行なっているのですが、この世に生れ出ると同時にその機能は、骨髄に移されるのです。すると、肝臓で作られた血の中にあった胎児型ヘモグロビンをもった赤血球が壊されます。これが黄疸がおこるしくみだったのです。
新生児黄疸は生まれて1週間目ぐらいにおこりますが、私たちが打撲で内出血をおこすときも、最初紫色だったのが1週間くらいかけて沈着変性してから黄色くなるのと同じです。
この新生児の顆粒球増多の真相は、私たちの病気がどうやってつくりだされるかを解き明かしています。
新生児黄疸でおこっている、
「ストレス⇒交感神経緊張⇒組織破壊」
を基本に考えると、
他にもストレスで起こっている組織破壊の病気が沢山あることがわかります。
歯槽膿漏、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔疾など、どれもストレスが原因で粘膜に破壊が起こる病気です。粘膜で組織破壊が起これば、急性膵炎、急性腎炎、突発性難聴などが起こります。
対症療法は解決にはならないので、ストレスの解消をすれば病気は治癒に向います。
実はここから、膠原病や発がんのメカニズムまでみえてくるのですが、長くなるのでまたの機会にします。
筋肉を使ったり、ストレスを受けて興奮しているときに活発なのは
-→交感神経。
リラックスしている時、睡眠時、飲食物の消化時に使われるのは
-→副交感神経。
これら自律神経に関して、白血球との関係を研究してきた免疫学者、安保徹先生の、新生児に関する発見のお話を紹介します。
ほとんどの疾患の原因や改善方法が、人体の仕組みの中で共通しているという認識で、このブログでも栄養素を何度かとりあげてきました。
今回は栄養素は登場しませんが、全身にいきわたる自律神経や白血球に注目した免疫システムを考えると同じことが言えるため、そこに注目します。
自律神経である交感神経と副交感神経の働きは、骨髄から出る白血球の構成の変化に関係しています。
白血球は、ふだんは血液の中をくまなく循環しています。重量比では赤血球96%に対してたった3%ですが(1%は血小板)、異物が入った時にいつでもその現場に辿りつけるように監視体制をしている細胞です。
白血球は大きくわけて次の3種類あります。
●マクロファージ、
●顆粒球(かりゅうきゅう)、
●リンパ球
顆粒球とリンパ球はマクロファージをもとにしてうまれたものです。
マクロファージは血管を流れるときはふつうの球状ですが、アメーバのように居場所によってその形を変え、異物があれば飲み込み、炎症があるとその場へかけつけるという白血球の基本細胞です。
たとえば、血液の中に墨汁を入れたりすると、まず血管内皮細胞がどんどん墨汁の微粒子をのみこんで、血液中から排除します。すると、マクロファージがやってきてのみこみます。これは栄養にもならないし、酵素でも分解できないし、と判断して、時間をかけて腸に運んで排泄するかあるいは肺に運んで痰にして出します。
生物が進化するにつれて、処理しなければいけない異物も多用になったので、基本のマクロファージから、
●貪食能を強めた大食いの顆粒球 と、
●貪食能を退化させ、接着機能で免疫を司るリンパ球
ができました。
白血球のなかのマクロファージは5%ぐらいで、顆粒球が60%、リンパ球が35%ぐらいの比率です。
顆粒球はマクロファージよりさらに大食いで、細菌の様な粒子の大きい異物を丸ごと飲み込んで、消化酵素と活性酸素を使って分解・紛糾します。
花粉やダニの死骸などが微生物などによって分解された果ての粒子など、微細な粒子だと、小さすぎて飲み込み作用が働かないので、接着させて異物を捕らえるようになったのがリンパ球です。
リンパ球は接着分子を使って、微細な抗原(ウィルスなど)を処理する免疫系をつくりあげました。
厳密な意味での免疫というのは、このリンパ球の働きであって、顆粒球が細菌などをのみこんでその場ごとに処理することは免疫とはいいません。
顆粒球もリンパ球も、異物排除には重要ですが、どちらも過剰になると体によくないことをひき起こします。
今回はストレスで増加する顆粒球についてみていきます。
顆粒球は、ほんの1~2日の寿命の細胞です。骨髄で作られて、血流の中に出て、最後は粘膜で死にます。このルートで顆粒球が活性化すれば、あちこちの粘膜が破壊されていきます。
たとえば、皮膚の上皮。寝不足だったり夜遅くまで仕事をすると、翌朝の髭そりやお化粧のときに、ポツポツ吹き出物のようなものが出ているのがみつかったりしますよね。
皮膚は破壊されにくいのですが、その下にある皮下組織や汗腺はとても敏感で破壊され易いので、顆粒球が増えすぎるとブツブツになってしまいます。
重要なのは、細菌による感染症になっているのでなく、ただストレスがあれば単独で顆粒球が血中や組織中に激増し、しばらくすると粘膜に辿りついて、そこで組織破壊を起こすというメカニズムがあるということです。
こうした顆粒球増多のストレス原因説を裏付けているのが新生児だったのです。
大人の白血球の数はだいたい(血液1マイクロリットル中)5~6千個で、1万個を超すことは滅多にありません。ところが、新生児は出生時の白血球が1万5千個もあり、そのほとんどが、顆粒球です。
ものすごいストレスに晒されたということです。
ここで大抵の人は狭い参道を通ってくるストレスだと考えるのですが、安保先生の考えは違いました。調査で確認されたのは次のとおりです。
母親の胎内からこの世に出てきたときの一番の変化は酸素の取り入れ方です。へその緒で血流を通して母体経由で酸素交換をおこなっていたのがオギャアと泣いた瞬間に、自前の肺が膨らんで酸素を採り入れる方法にかわります。
このとき体内に入ってくる酸素濃度も一気に上がります。そして代謝が一気に上がりストレスとなります。
楽に鳴き声を上げている赤ちゃんはなく、まるで死にそうなくらいに苦しそうな、真っ赤に鬱血した顔をしています。(だから「赤ちゃん」と呼ぶんですね。)
そして酸素を吸って白血球(とくに顆粒球)がどんどん上がって、泣きやむころには「顆粒球増多症」が完成しています。
これは新生児に起こる一連の現象の謎解きにつながっています。
新生児は生まれてすぐにはミルクを飲むことができないので、1、2日の間は体重が減り、身体もしぼんでしわしわになります。これは、酸素の吸い過ぎで興奮して顆粒球が増え、交感神経が極度の緊張状態にあるためです。
消化器官の働きというのは、副交感神経が支配しているので、交感神経緊張状態にあるうちは、おっぱいにしゃぶりついても飲めないのです。その後、2、3日めには興奮が完全にとれて飲めるようになります。
赤ちゃんの顆粒球は血管だけでなく、肝臓でも増えていて、肝障害のような数値が出ます。
胎内にいるあいだは肝臓で造血を行なっているのですが、この世に生れ出ると同時にその機能は、骨髄に移されるのです。すると、肝臓で作られた血の中にあった胎児型ヘモグロビンをもった赤血球が壊されます。これが黄疸がおこるしくみだったのです。
新生児黄疸は生まれて1週間目ぐらいにおこりますが、私たちが打撲で内出血をおこすときも、最初紫色だったのが1週間くらいかけて沈着変性してから黄色くなるのと同じです。
この新生児の顆粒球増多の真相は、私たちの病気がどうやってつくりだされるかを解き明かしています。
新生児黄疸でおこっている、
「ストレス⇒交感神経緊張⇒組織破壊」
を基本に考えると、
他にもストレスで起こっている組織破壊の病気が沢山あることがわかります。
歯槽膿漏、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔疾など、どれもストレスが原因で粘膜に破壊が起こる病気です。粘膜で組織破壊が起これば、急性膵炎、急性腎炎、突発性難聴などが起こります。
対症療法は解決にはならないので、ストレスの解消をすれば病気は治癒に向います。
実はここから、膠原病や発がんのメカニズムまでみえてくるのですが、長くなるのでまたの機会にします。
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